「まじか」


「うんっ。きっと、かなたんと付き合った子は幸せだろうね」



私は本心でこれを言ったんだけど、かなたんの笑顔はそこで曇った。



「俺と付き合ってもいい事ないよ」


「なんで?」


「さぁ?俺付き合ったらフラれてばっかだし」



そう言ったかなたんは、自嘲的な笑みを浮かべた。



そんなかなたんに私は、何て言えばいいかわからなかった。


だけど、もしかしたら私たちは似てるのかもしれない。


フラれる事が怖くて前に進めない ─‥ 。



「さて。帰ろっか?」


「うん♪」



帰り際、愛美の健サンを履いていた私は、汚れてしまわないように裸足で帰ろうとしていた。

そんな私にかなたんは自分の健サンを貸してくれた。



『危ないから』って。


やっぱり私は、こんな優しいかなたんがフラれる理由が全然わからなかった。