「馬鹿ぁぁぁああ!!」


 その時、隣にいた女が突然大声を上げ、手に持っていた携帯を床に向かって投げつけた。


 ガチャンと音がして、折りたたみ式の携帯は開かれた状態のまま床に打ち付けられた。

 俺が驚いてそれを見ると、携帯に付いているエルモのストラップと目が合った。


「もう、なんなのあいつ」


 女はそう言うと、握っていたピンク色のカクテルを一気に飲み干した。

「お客様、女性の方がそのような飲み方をされてはお体に障ります」


 バーテンダーが女を注意するのだが、女はそっぽを向いている。