「たまには、女同士二人でご飯でも食べに行こっか」



かおりが誘い、奈央が頷いた。



環状8号線通りにある24時間営業のファミリーレストランの窓際席で、二人はとりとめのない話に花を咲かせていた。こうしていると二人とも16歳の少女なんだなと奈央は思った。



奈央はふと、かおりの家庭事情はどうなっているのだろうと考えた。



――――いや、よそう。かおりだってわたしには触れないでいてくれる――――



「ねぇ、外見てみなよ。ちょっといい線いってない?」



ふいにかおりがそう言って、組んだ両手にのせたあごで奈央を促した。



奈央は窓の外に目をやった。



車道では道路工事が行われていた。安全マークの付いたヘルメットを被った人たちが懸命に働いている。



その中の一人が、汗を拭うために手の甲で額をこすった。



ヘルメットが斜めに上がり、男の顔がよく見えた。シャープなあごの精悍な顔がのぞいた。



「あれ、あれ、あのひと。わぁ、ラッキー。こっち向かないかな」



かおりがはしゃいだ。



かおりの望み通り男はこちらを向いた。だが男の目は奈央を捉えた。



奈央は男と目が合ったとたん、身体に衝撃を感じた。



「あっちゃー、奈央に目をつけたかぁ」



かおりが残念そうにそう言って奈央を見た。



「えっ、こっちも?マジ?」



かおりは目をぱちくりさせた。