何で婁唯はそんな目で…真衣を見るの?
なんか…怖いよ……
婁唯のその眼差しはまるで真衣を拒絶しているようだった。
見慣れない弟のその眼に、鼓動が強く打たれる。
「…へぇ…。
その様子じゃ、あたしの言いたいこと…分かってんでしょ?
そんなに鈍感そうにも見えないしね…?」
挑発する様な、真衣の口調。
私は息を呑んだ。
元ヤンキーの真衣の迫力は、かなりの物だった。
「…新田先輩も……。
勘が良すぎて怖いですね。
女子ならもう少し天然のほうが可愛げありますよ?」
売り言葉に買い言葉。
婁唯まで真衣の言葉を嘲笑うように言い放つ。
その言葉から、2人の言い争うが始まる。
「別に…。可愛くなろうと思ってないけど。
あんたにどう思われてもかまわない。
てゆーか…それってさ、
あたしの言いたいこと分かってるってことだと思って言い訳?」
「ホント、可愛くないですね…。
俺のタイプにかすりもしてないですよ。
いいですよ、どう受け取っても。」
真衣の周りを飲み込むような圧倒的な存在感…
その口調と雰囲気…。
怖いのだけれど…見とれてしまいそうになるくらい格好よかった。
婁唯は真衣の言葉を全て嘲笑うように返す…
その口は小さく弧を描き、眼はまるで目の前のものを射る様な眼差し…。
私は、ただ立ち尽くすことしかできなかった。