「マスター、トランプ貸して」

シンが空いた皿を差し出しながら言った。最初はマスターと遊びとしてポーカーをしていたのだが、今は美華とコーヒー代を賭けた勝負になっている。

「また奢ってくれるの?」

「俺も特訓したから、そう簡単にはいかねーよ?」





「ストレート」

「ツ…ツーペア」

またしてもシンの惨敗である。これまでの戦績は美華の全戦 全勝だ。

「マスター、アイス追加」

レンの奢りが決定したところで、追加注文をする。

「なぜだ…なぜ勝てぬ?」

「あんたはポーカーにはむいてないんだよ」

レンは感情が顔にでてしまうタイプだ。美華は逆に、フェイクが得意で頭も良く、何をやらせても涼しい顔でこなしていまう天才肌だ。