美華が話している最中に、シンがいきなり走りだした。だが歩道は赤信号。車が行き交う道路へ突っ込んでいく。

「ちょっ…シンさん!!」

香織が思わず叫ぶ。それと同時にまた一人の男性が道路へ飛び出した。

歩道の中には、大きな犬に引っ張られる5歳くらいの女の子がいた。

ブァー――――!!!

乗用車のクラクションが鳴り響く。

後から飛び出した男性が女の子を抱きかかえる。
そのすぐ後にシンが犬を担ぎ上げた。



ズサー―――…
男性が女の子を気遣いながら、しゃがみ込んで停止する。

ドカッ! ドサッ!
シンは、犬がかなり重く、向こう側の歩道へ身を投げるしかなかった。