僕を囲む鉄格子を
僕は嫌っていた。
自由にさせてくれって
馬鹿みたいに叫んで、
鉄格子に守られていることに
気づいてなかった。
ああ、
今更気づくなんて。
身体中の肉が削ぎ落ちて、
身体中の骨が浮き出てしまって、
水を飲むこともできなくて、
苦しくて、
怖くて、
それでも
浅い呼吸を繰り返し、
僕を見つめて
「愛してる」と微笑む、
そんなあなたを見てから
やっと気づくなんて。
お母さん、お母さん、
あなたのような鉄格子になら
また囲まれてもいいって
今はそう思えるのに。
もう
あなたは
いない。