「お前は本当にすげぇよ!」

私は突然のことに戸惑いながらも、思わず腕を圭吾さんの背中にまわした。


こういうのって本能なのかな?手が勝手に動いていた。


私が腕を回すと、圭吾さんは抱きしめる手に力を込めた。


座っているのでピッタリくっつくことはないが、私の左胸だけは圭吾さんの右胸に密着する。


私はこの高鳴る鼓動が伝わっているのでないかと思った。それくらい心臓は強く、早く動いている。


「お前みたいに強くなりてぇ」


圭吾さんはぽつりと言うと、抱きしめる腕を緩めて離れてしまった。


「送る。立てるか?」

そう言って立った圭吾さんは私に右手を差し出してくれた。

私がその手を両手でつかむと、圭吾さんは引っ張って立たせてくれた。


「ありがとう」

私は立ち上がると、手を離して言った。