蓮があたしの脇を通り過ぎる瞬間、がしっと腕をつかまれ引きずり出される。


そのままの勢いで壁に押さえつけられた。



「きゃぁ!」


「なんで俺が来たら隠れんのかな?雪ちゃん?」


「う・・・」



壁に押しつけられた近すぎるこの状況と、目の前で輝く眩しくとも胡散臭い笑顔に、いいわけが思いつかない。


やだ・・・どうしよ・・近づくなって言われてるのに・・・


離れようと思っても、さすがに男の力にはかなわない。



「は・・・放して・・・」



いつものあたしと違うことを感じたのか、蓮の眉がひそめられる。



「なんかあったのか?」



探るような蓮の眼にまずいと感じた。



「な・・何もないよ!」