「あとみんな1人1本ずつで終わりー」
「え、もうそんなに?」
「そ。だから、味わってねっ」
何を味わうんだ…
「はい。泉水くんの分」
「サンキュ」
雨荻は俺に線香花火を渡すと、
スカートが砂につかないように気をつけながらしゃがんだ
俺も雨荻の隣にしゃがんだ
雨荻がライターで俺の線香花火に火をつけた
「…雨荻」
線香花火がチリチリと火花を散らしながら段々と短くなっていく
「何?」
俺の線香花火の先が、ポトリと砂浜に落ちた
「好き」
いつの間にか、雨荻の線香花火の光も消えていた
「あたしも」
俺は顔を見上げた
「好きだよ、泉水くんのこと」
「…付き合って」
「…うん」