でも、一人でいても思い出すのは、聖也と詩織のこと。

聖也の笑顔は、聖也の優しい言葉を独り占めできるのは、詩織。

あたしは、もう出来ない。

ずっと、独り占めできると思ってた。

ずっと、離れていくなんて思ってなかった。

だからこそ、辛くて、悲しくて、苦しい。

やだな、恋なんてするもんじゃない。

自暴自棄になってきたから、部屋を出て自転車で聖也がいじめられてるあたしを、守って
くれた公園にきた。

思い出の公園。

大好きな公園。

聖也との、大切な思い出。

やっぱり、忘れたくないから来てしまった。

暗くなったから、帰ると弟の隼人が聞いてくる。

「姉ちゃん、聖也君とはどうなの?」

「・・・・・・どういう意味よ」

「ラブラブなのかって、聞いてんの」

「・・・残念 詩織っていう子がいて、聖也はその子にべた惚れ」

「・・・やっぱり、聖也君はかっこいいもんね」

「・・・そう あたしには、不似合いなの」

「・・・・・・」

あたしは、そう言って部屋に駆け込む。

「やだな・・・弟にまで言われちゃうとは・・・」

涙が、出てくる。

「うっ・・・うっ・・・」

誰にもわからない。

この辛さを、この悲しさを、この切なさを、消す方法を。

神様は、いじわるだ。

あたしをこんなに苦しめて、何になるというのだろうか。

コンコン

もう、こんな時に何?

ガチャ

「ごめん 言い過ぎた」

「・・・・・・」

「成耶が言ってた 最近、聖也君がずっと笑顔だって・・・」

「・・・・・・」

「てっきり、姉ちゃんの事と、思って・・・」

「もういいよ」