「どうして飛んでくれなかったんですか!」
千夜の言葉に耳が痛い。何度も何度も苦しくなる。
伝言を伝えて、彼女は泣きわめいた。
せっかく再会できた姉を目の前で永遠に失った。自分を閉じ込めた男と一緒に落ちた。
助けることができたはずの烏丸に当たるのも無理はない。
伝言を伝えたとしても聞き耳を持たない。
「……警察、呼ぼう。事件だし」
そんな中で、感情を一切動かすことなく淡々と東はケータイを取り出した。
千夜は力なくうなだれる。冷静すぎる東を苦く思う余裕もなかく、うなだれていた。
「千夜……帰ろう。そのほうがいいから」
「でも、お姉ちゃん……どうして……」
泣きじゃくる千夜。それを陽は必死に声をかける。
「小夜子さんの日記を見つけた。……それ、帰ってから読もう。今は、ここにない方がいいから」
「…………」
小さく千夜は頷いた。
通報は東に任せて別れ、烏丸と陽は千夜を送りに行った。
そのあとは、陽を家に送り、烏丸はそのまま帰宅した。
学校にいることも考えたが、警察に翼を見られたくなく、諦めた。