「ふふぁぁぁあああ~」
大あくびをして、倉元が目を覚ました。今日は非番で、うっかり遅くまで寝てしまったようで、もう時刻はお昼を回っていた。まあ休みなので焦ることもなく、寝ぼけ眼をこすりながらアパートの窓を開けた。
「うぉっ」
開けた瞬間、部屋に一羽のスズメが入り込んだ。小さな愛くるしい瞳に少し黒ずんだ羽根をしている。スズメはさえずりながら、部屋の周りを飛び回った。
「あ~……え~と……。どうしよ」
なかなか部屋から出て行ってくれないスズメ。寝ぼけた頭で物を考えて、とりあえずは朝食の予定だったパンをちぎってあげることにした。
スズメは嬉しそうにさえずり、パンをついばむ。その様子を、じっと倉元は見ていた。愛らしい。とっても可愛らしく人懐っこいスズメだ。
しばらくしてスズメはパンを食べ終え、またさえずる。さえずった後に、また窓から出て行った。
それを倉元は見送った。
「不思議なすずめだなぁ……。二度寝しよ」
また、倉元は布団へと入り込んだ。
それから、毎日のように倉元のアパートに黒っぽいスズメが訪れた。さえずりで倉元を起こし、パンをあげたら嬉しそうにさえずる。そんな人懐っこいスズメが倉元の元を毎朝訪れた。
倉元は何にも知らない。そのスズメのさえずりの中に言葉があることなんて全く気付いていなかった。
『ありがとう』
なんどもそのスズメはそうさえずりの中に言葉を込めた。
パンのお礼の言葉。冬矢を説得し、外出の許可をとってくれたことのお礼。
お礼の言葉を何度も伝えるために、毎朝毎朝すずめは倉元のアパートに通っている。
おそらく明日の朝も、そのさえずりで倉元は起こされることだろう。
ちょっと迷惑に思う瞬間があるのは、すずめはまったく知らないけれども。
大あくびをして、倉元が目を覚ました。今日は非番で、うっかり遅くまで寝てしまったようで、もう時刻はお昼を回っていた。まあ休みなので焦ることもなく、寝ぼけ眼をこすりながらアパートの窓を開けた。
「うぉっ」
開けた瞬間、部屋に一羽のスズメが入り込んだ。小さな愛くるしい瞳に少し黒ずんだ羽根をしている。スズメはさえずりながら、部屋の周りを飛び回った。
「あ~……え~と……。どうしよ」
なかなか部屋から出て行ってくれないスズメ。寝ぼけた頭で物を考えて、とりあえずは朝食の予定だったパンをちぎってあげることにした。
スズメは嬉しそうにさえずり、パンをついばむ。その様子を、じっと倉元は見ていた。愛らしい。とっても可愛らしく人懐っこいスズメだ。
しばらくしてスズメはパンを食べ終え、またさえずる。さえずった後に、また窓から出て行った。
それを倉元は見送った。
「不思議なすずめだなぁ……。二度寝しよ」
また、倉元は布団へと入り込んだ。
それから、毎日のように倉元のアパートに黒っぽいスズメが訪れた。さえずりで倉元を起こし、パンをあげたら嬉しそうにさえずる。そんな人懐っこいスズメが倉元の元を毎朝訪れた。
倉元は何にも知らない。そのスズメのさえずりの中に言葉があることなんて全く気付いていなかった。
『ありがとう』
なんどもそのスズメはそうさえずりの中に言葉を込めた。
パンのお礼の言葉。冬矢を説得し、外出の許可をとってくれたことのお礼。
お礼の言葉を何度も伝えるために、毎朝毎朝すずめは倉元のアパートに通っている。
おそらく明日の朝も、そのさえずりで倉元は起こされることだろう。
ちょっと迷惑に思う瞬間があるのは、すずめはまったく知らないけれども。