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「超ムカつくっ!」
翌日の教室。
怒りの矛先を向けられたひかりは、何も言わずに、視線を教室のドア付近に移した。
そして、頬杖をつきながら言う。
「また充くん?」
「そう。あたしが読んでたケータイ小説の本を無理矢理取り上げて、『こんな男いるわけねーだろ』とか、『犯罪だろ』とか!
本当にヤダ! ミツはあたしの好きなモノにケチつけるのが趣味なんだよ。悪趣味男!」
「明日香にだけつっかかるよね。普段は落ち着いてるし、普通に優しいのに。
……でもやっぱり、顔はいいよねー。極上」
ひかりがふぅっと色っぽいため息をつきながら言うから、あたしもミツを見る。
廊下側の席で男子となにやら楽しそうに笑ってるミツは……、どっからどう見てもイケメンだ。
すらっと伸びた手足も、そこそこ高い身長も、さらさらした髪も。
ついでに言えば、運動神経もいいし、頭だって悪くない。