「女友達と会ってたってだけで機嫌損ねるような器の小せぇ男に、

『おまえの運命の男は俺だ。黙って俺の隣にいればいいんだよ』

的な事言われて喜んでんの?」

「それは……、」

「そんな男、本気で神経疑うし。顔が悪けりゃいいとこなしだな」


パラパラ漫画みたいな速度でケータイ小説を見終わったミツが、本をベッドに放り投げる。


ぽん、と軽く弾んだ本は、裏表紙を上に落ち着いた。


同じようにベッドに仰向けになったミツが、それを横目に見てまた笑い出す。


「うわ。こんなんに500円もかけてるし。本当に明日香はいつまでたっても子供だよなー。

こんな本の中にいるような男なんか、実際にはいるわけねーのに」

「……っ、ミツなんかだいっきらいっ!」


憎たらしい笑みを向けるミツは、ふふんと鼻で笑ってあたしを見ていた。