「『俺のモンだっていい加減自覚しろよ』って。
完全にモノ扱いしてっけど、こんな男のどこがいいわけ?」
「返してよっ! 愛のあるモノ扱いならいいんだもん!」
手を伸ばすのに、ミツに押さえ込まれてなかなか取り返せない。
その間にもミツは、本棚から他の本を取り出すと、またペラペラと捲って笑う。
「バッカじゃねーの。モノ扱いに愛もなにもねーだろ。普通に考えろ。
しかも、『先輩はあたしの運命の人』だとか言ってるし。
そんな簡単に運命感じてたら世話ねーな」
「いいじゃん、感じたって! それぐらい好きって事だもん!」
「じゃあおまえ、こんな薄っぺらい本の中に出てくるような男に、ずっと異常なくらいの独占欲で縛られても平気なわけ?」
切り替えされて、ちょっと迷う。
何も言えずにいると、まだペラペラしているミツが、イジワルに笑う。