「不満とかじゃないよ。ただなんとなく、このまま流されて付き合っちゃっていいのかなって。

なんか……、本当になんとなくだけど、しっくりこないっていうか」


歯切れ悪くぼそぼそ言う。

孝太に気に入らないとこなんかないし、むしろあたしにはできすぎとすら思う。


だけど……。

なんでだか分からないけど、乗り気になれない自分がいる。


「みんなそんなもんだって。いいじゃん、一回付き合ってみれば。

そりゃあ充くんに比べたら、顔も身体も劣るかもだけど、村上悪くないよ?

爽やかだし優しいし、結構人気あるんだから。

充くんほどじゃないけど」

「なんでもミツと比べないでよ。あたし別にミツと比べてどうだからって答えを渋ってるわけじゃないし」

「えー、そう? 充くんみたいのが近くにいて比べないとかありえなくない? 

だって王子様だよ?」

「だから! ミツは王子様なんて柄じゃないんだってば」