「あんまじっと見るなよ。……照れる」
本当に恥ずかしそうに笑うから、またじっと見つめると、目許を手で覆われた。
……メイクを崩さないようにって意識してくれてるのか、手を顔に直接はあてずに。
ミツの言うように、あたしがしてるメイクなんてほとんどないに等しいのに、それでも気を使ってくれてる。
気遣いも、ミツよりもできる孝太。
「じゃあまたな」
「うん」
手を振りながら、孝太の後ろ姿を見送る。
だけど、教室の中からたくさんの視線が突き刺さってきてたから、パっとそれをやめて席に向かった。
「いい感じじゃん。村上と。デートの約束までしちゃって」
席に戻ると、ニっと笑みを浮かべたひかりに言われる。
「うん、まぁ……」
「あれ? なんか不満でもあるの?」