【「……もう、優しくしないで」

『生徒』としてしか見てもらえないなら
『教師』としての感情しかないなら

優しくされたって、つらいだけだから。


やっぱり、生徒じゃいや―――……。  】




「―――くっだらねー。またそんなん読んでんの?」

「!!」


驚いて振り向くと、心の底から軽蔑したような視線を向けるミツの姿が映る。


「つーかさ、勝手にキスするとか、相手が悪かったら訴えられたりすんじゃねーの?

俺様ブームとか言っちゃってるらしいけど、強引に押し倒したりすんのって犯罪だろ。

おかしいだろ。顔がいいからって何でも許されんのとかって」


あたしが読んでいた文庫本を取り上げたミツは、ペラペラとページを捲りながら、バカにしたように笑う。