「前の席、最悪じゃんな」


私の溜め息に横からそんな返事が返ってきた。

顔を向ければ、人懐っこい笑みを浮かべた男の子が私を見ていて、彼に話掛けられたことがわかった。



「あ。いきなりごめんな?


俺、坂口 裕也。

神崎さん…だよな?これからよろしく!!」


そう言って彼‥坂口君はまた人懐っこい笑みを向けた。


「…えっと、神崎 澪です…。

…こ、こちらこそ、よろしく…」


戸惑いながらもそう返す。

昔よりはましになったと思うけど、今でもやっぱり人見知りしてしまって上手く返せなかった。


それでも坂口君は気にする様子も無くにいろいろと話し掛けてきてくれた。

…その雰囲気がどことなく奈々子ちゃんに似ていてほっとする。


最初の落ち込んだ気分も彼のお陰で晴れていくような気がした。

友達になれるかなって思った…。