茜くんと喋っていると
大人達や医者が入ってきた。

「心ちゃん、気分はどうかな??」

その人はあたしに微笑む。

「普通です」


あたしは笑ってみせた。

今度は医者の隣にいた人に話かけられる。

「心ちゃん、おじさんのこと覚えてる??」


あたしは首を横に振る。

「ごめんなさい…」

おじさんはあたしの頭をポンッと軽く叩いて笑った。


「大丈夫だよ」


それからおじさんとおばさんが何か話をする。


「悲しいけど、覚えてない方が楽かもな…」

「可哀相に…」


少しだけそう聞こえた。



覚えてない方が楽…??

可哀相って何…??


苦しくなって涙が頬を流れた。