【唯ver.】

『お腹すいたぁ。唯、屋上でお弁当食べよう!!』
いつもと同じ光景。

あたし、宮古唯・高校一年生。性格は天然と言われるが自分ではよく分からない…。
大好物はいちご。後、甘いもの。

『唯、早くう!!』

『ちょっと待ってぇ』

んでもって、このテンション高過ぎる子はあたしの親友・榊真由。幼稚園からのお付き合い。

ようやく屋上に着きお弁当を広げる。

『唯のお弁当美味しそう』
そお言って一番美味しそうな玉子焼きをパクリと食べる真由。
『もーっ。あたしの玉子焼き返してぇー。』

『あっ、美味しい!!』

追いかけるあたしに逃げる真由。足の速い真由に追いつける訳は無いんだケド…。
大好きな玉子焼きを食べられてじっとしていられない。


『真由ぅ、もう疲れ…』

『唯、危ない、前!!』

目を閉じる。
その途端あたしは何かにぶつかった。
でも、痛くない…。
不思議に思い目を開けると…。
『大丈夫?』

胸には【Ⅱ】のバッチ。
って事は先輩!?しかも男子!?

慌てて離れる。

『すみません…。あっ、ありがとうございました。』

緊張してカミカミ…。

『怪我なくて良かった。』
先輩は笑顔を見せてくれた。
『俺は二年の高城奏、お前は?』

『あっ、あたしは宮古唯です。』
先輩に見られてる気がして上手く話せない…。

『唯かよろしくな。』

そう言って高城先輩は友達と思われる輪の中に入って行った。

『唯…。あんた高城先輩と話しちゃって。』

真由が羨ましそうに言う。

『高城先輩って凄い人なの?』
高城先輩に聞こえないように小さな声で聞く。

『唯、知らないの?高城先輩って言ったら、この学校で知らない人はいないって位、有名!』

かっこいいしね♪と付け足された。

確かにかっこいいケド…。先輩だもん。後輩なんて相手にしないよね…。

って、あたし何で悲しんじゃってんの!?

何かドキドキする。この変な気持ちは何なんだろ…。自分でも分からない。

明日また先輩に会えないかって期待する自分がいる。こんな気持ち初めてだょ。