『実は金曜日、麻理の誕生日なんだよね!』
『3歳になるんだ。今が一番可愛い時期でね!毎日抱っこしてあげてるんだよね』
なにしっかり覚えてるのよ、あたし。
また家の扉が開く。
「麻理ー行こうか」
出てきたのは光志だった。
あたしの知らない父親の姿をした光志。
優しく麻理ちゃんを抱き上げる。
それを嬉しそうに奥さんが見ていた。
「………」
ダメだよ。
こんなのずるいよ、
あたしただの邪魔者じゃない…
あたしがいなくても
光志はあんな幸せそうに笑ってたんだ…
もしかして、
光志といて幸せだったのってあたしだけだったの?
「…ぅうっ…う…」
こんな想いするために
光志を好きになったんじゃないのに、
あたしばかり
一人で泣いて、
光志は知らない所で
笑ってたんだね。