「じゃあな」
「うん、またね」
結局、家の目の前まで怜くんに送ってもらった。
怜くんは軽く手を振ると
背を向けて行ってしまった。
あたしは、その背中を眺めながら考えた。
もし、光志と付き合っていなかったら?
怜くんと別れていなかったら?
あたしはどうなっていたんだろう。
あたしばかり
子供なんだと、感じることも、
罪悪感もなかったんだろうか。
でも、こんなに光志のことばかり考えて、
ヤキモチを妬いてほしいと思って…
こんなに『好き』の
気持ちでいっぱいになることは、
光志と出逢わなければ
わからなかったことなんじゃないかな。