あたしはまた聞いた。
「ねぇ、どうゆうこと?」
光志はゆっくりと顔を上げて、あたしを見る。
「俺は、最低な奴だ。家族があるのに、お前を手放せない。そんな男がお前を抱いたり出来ねぇよ」
真剣な…大人の顔。
「あたし、そんなの気にしないよ?」
あたしは光志の腕にしがみつくようにして言った。
光志は頭を掻きながらバツの悪そうな顔をする。
「俺だって、この6日間、何度もこの手で杪を壊してやろうと思った。でも…出来なかった」
下唇を噛み、どこか悔しそうな顔をする。
あたしは、これ以上は
何も言わなかった。