今日の分の日誌を急いで書き上げると、体育教官室へと向かった


ドアのところで手渡すとサッサと立ち去ろうと思ってたのに「ちょっと拝見」とアタシの目の前で見始めて、行くに行けなくなってしまう


城田先生は日誌をパラパラとめくって目を通している

「もう…学校慣れました?」

と聞きながら、ページを開いて指差すと「真木先生、ここ書きもれ」とアタシに手渡す


ペンを渡されて室内に促されると「書いてってください」と言われて、拒めない雰囲気


帰らないと…いけないんだけど


そう思いながら室内に足を進めると、背後でドアが閉まる音

書きもれといっても、ただの日付と曜日の欄


これぐらい書いてくれたらいいのに…と思いつつ、アタシは近くの椅子に腰をおろした

すぐ帰れるようにもって来たカバンを隣にあった机に置く


城田先生はアタシの背後に立つと、また別の箇所を指差して「これは…もうちょっと詳細を書いてくださいね」

と更に要求してきた


言われたとおりに書いていると顔を近づけて日誌をのぞきこんでくる



顔が、近いんですけど


書きながら気が気じゃない


先生の視線が至近距離から突き刺さる


耐え切れずに手短に書き終えるとペンを置いて「書けました」と顔を上げた


瞬時に(まずい)と気づく

思ってたよりも近い距離で城田先生に真正面から顔を向けてしまった


慌てて体ごと目をそらすと、先生の手が肩に乗って強引に顔の向きを変えられた


「真木先生、ぼくの気持ちに気づいてますよね」

とさらに距離を詰められて、アタシはそれから逃れるように頭を引く

「困ります」

「好きなんですよ」


肩をおさえる手からもがいて逃げると、すかさず両手で顔を挟まれて息がかかるほど近づいてきた



空いてる両手で先生の体を押してもびくともしない

無理矢理に立ち上がろうと手探りで横の机に手をつくと、重なっていた資料か何かがバサバサと音を立てて床に落ちていく


少し腰を浮かせかけたけれども、上から押さえ込まれるとまた椅子にお尻がついてしまう


力が強すぎて、あらがえない……!!!