新田くんのクラスのドアの前でふと思う


機嫌悪いって……アタシ関係ないし



と我関せずを貫こうとしてるのに……



めちゃくちゃにらんでるよ


教科書で顔を半分隠して新田くんを見ると、いつもは下を向いたっきりで顔もあげない彼が、今日はメガネをかけたまま指先でペンをくるくるまわし……


アタシの顔を凝視している


小沢さんに色目使うなっていわれたけど


この人にどうやったら色目なんて使えるんでしょう??


蛇ににらまれたカエルのように、アタシは居心地の悪い一時間をすごす羽目になってしまった



それにしても……


メガネかけてたらよりいっそう知的だな……


目が合うと怖いから見ないようにしてても、余計に意識がそちらに向いてしまう


というか、あまりもの相手の鋭い眼光に何度も捕まったって言うほうが正しいかもしれない


目にかかった前髪がよりいっそう迫力で

腕を組んで

背もたれにもたれかかって

長い足を組んで


値踏みするようにじーーーっと見つめられていると

知らず知らずのうちに胸がジンジン……とういかザワザワというか


って、アタシ、視線捕らわれすぎ


慌てて黒板に向き直るとチョークを手に取る


ちょっと全身が熱を持ったのをごまかすように、教科書で顔をあおいだ