制服もいいけど、ボーイ姿も似合ってる

改めてみると思う、久々に見るボーイ姿の新田くん


今まで意識したこともなかったけど、アタシって制服フェチ?


妙な接点ができたからか、接客中もチラチラと目が合って仕方ない


まあ、彼はいろんな所に目をやってなきゃいけない仕事だから、別にアタシのことを見てるわけじゃないんだろうけど


夜の20時を過ぎると同伴入りする人が増えて、自然と店内にも女の子の笑い声が増え始めた

同伴はほとんどしないアタシはサポートに入るのがほとんど

ママが同伴してきた年配のおじさまのウイスキーをぐるっとマドラーでかき混ぜて差し出した


「マキも、龍子ママみたいに着物の似合う女になれよ」


とタバコを片手に、かっぷくのいいお腹を揺らしてウイスキーをまるでお茶のように流し込む


「無理ですよ~、アタシにママみたいな色気ないもん」


とすねたように言うと、おじさまの横に寄り添うように座ったママが

「聞いた?もう、マキはほんまかわいいこと言うわ~」

とライターの火をたばこに近づけた



灰皿を出すと、人の話し声の合間に店のドアが開く音

アタシが入ってるとかなりの確率で来てくれる前田さんがあらわれて

ママがアタシに目配せをする

前田さんがくると、ほとんどアタシはつきっきりになる


「ごめん、マキちょっと貸してね」


とママがおじさんに両手を合わせる


「なんだ、マキもすっかり人気出たな!」

「そうでしょ? そやのにお酒飲まれへんねんから、困るわ」

「よっしゃよっしゃ、俺が仕込んでやる!」


とおじさんがタバコの煙を豪快に吐き出した

アタシはテーブルに置かれたままのグラスに自分のグラスを軽く合わせて

「失礼します」

と笑顔で立ち上がる


「いややわ!仕込むなんて、いやらしい言い方やめて!」


ママの大きな笑い声が店内に響いた