無表情な顔からは相変わらず何も読み取れない


アタシに懐いてるんだか

足に使ってやろうともくろんでいるのか

はてさて全く何も考えていないのか



「俺が行ったらまずい理由あるわけ?」

「いや、ルームメイトが」

「……男??」

「女だけど」

「じゃあ問題ないだろ」



久々に会話を交わしたけど


--------そこはやっぱり俺様なのね



車を発進させると沈黙

はじめて彼を車に乗せた時に感じた居心地の悪さ


愛想笑いとか、世間話とかできない雰囲気


上っ面だけとはいえ、人として必要最低限のコミュニケーションをとれないのはなんだか場がもたないというか…


ひたすら車の運転に集中


いつもより長く感じる時間を経て、やっとの思いでマンションの駐車場に到着した



「帰ってるかな~」と呟きながら玄関をあけると室内に人の気配がある


アタシが靴を脱いで「お茶でも入れるから、どうぞ」と言い切る前に入ってくる新田くん


リビングに顔を出すと「ただいま」と告げた


「おかえり~」とソファーに座ったまま振り返る明るい髪をした彼女が、アタシの背後に立っている男の姿に目を丸くした


「生徒連れてきたの?」

「生徒……なんだけど、バイト先のボーイさんで」


マニキュアを塗っていたのか、不自然に両手を開いてヒラヒラしている彼女が「へえ」と微笑んだ