お店の近くにとめていた車に乗って繁華街をゆっくりと進んだ


時間を確認すると深夜1時半

早く寝なきゃ…
明日は朝早いし

信号で止まると、酔っ払いの大声が聞こえてくる

ほんと、酔っ払いって声が大きいよな

そう思いながら歩道の方に目をやると、最近店に入ったボーイさんが困った顔をして酔っ払いと対峙している


入ってきた時に端整な顔立ちをした男の子だと思ったからなおさらよく覚えている

目にかかるくらいの長さのさらさらのキレイな黒髪

切れ長の目が妙に男っぽくて、ボーイの制服でもある真っ白シャツがはまりすぎるくらいのモデル体型


彼を見たちづるさんがママに「顔とスタイルで選んだでしょ」なんて言っていた


愛想をふりまかなさそうな無表情で、静かに閉じられた口元に知性をにじませている

はじめて会った日、横目でちらっとこちらをみる目がなんだかこちらに劣等感を抱かせるような視線で背筋が薄ら寒くなったのを覚えている


車の窓をあけると10月の涼しい風が吹き込んでくる

深夜でも人通りの多い場所で、酔っ払いの大声が響く


「酔っ払いだからって適当にあしらってんじゃねえぞ!」



唾が飛んできそうな近距離、少しあごを引いてため息をつくボーイさん


「お前がぶつかった腕がいてーんだよ!」

更に酔っ払いが彼に体ごと突っかかっていく


アタシは窓から少し顔を出すと、声をかけた