口を開きかけると、新田くんの声がかぶさった


「あれくらいの誘いも突っぱねられないのか、水商売のくせに」



…………


頭を鈍器で殴られたみたいな

胸にそのまま負荷がかかる



そんな言い方しなくても



彼の目から地面の無機質なグレイに視線をうつすと言葉を飲み込んで


「うん、そうだね、ごめん」


と小さく言った


「別に、謝られても困るけど」


更に突き放されて、アタシはまた「……うん」とうなずくことしかできなかった



軽快な音楽が鳴り響き、電車がホームに入ってくることを伝えるアナウンス


アタシはそのままうつむいた顔をあげられなかった


新田くんも別に何も言わない


電車がホームに入ってきて、騒音とともに人を吐き出す



「俺これ乗るけど、あんたは?」


アタシは黙ったまま答えない

っていうか、言葉を失っている


「乗る?乗らない?」


畳み掛けるように問いかけられて、アタシは首を振った