「アレ?先生じゃーん」


男の子の声がしてその場の全員がその方向を見た


あれ??この子……


「先生たち、飲み会?

いいねー、大人は」


「何してるんだ、長瀬は」


……アタシに“女教師はタイトスカート”って言った男子だ


「俺だけじゃねーけど」


と長瀬とよばれた彼はあごで自分の背後を示す


「お前たち、こんな時間まで……」


風紀担当の先生が自分のことはさておき生活指導をはじめそうな勢い


「俺たち今から帰るとこ」


長瀬くんはそう言うと、アタシをチラっとみた

なんかちょっと意味深な笑みを浮かべている

……なんだろ??


そんな事を考えていると、城田先生がアタシの耳元で「抜けちゃいましょうか」と言ってアタシの腕をつかんだ


え?!


振り払おうとした瞬間、城田先生につかまれたアタシの腕を他の誰かがつかんでグッと引き離した



「城田先生、教育実習の先生を困らせてるんですか」


背後から低い声がそう告げる

城田先生は不服そうに振り返るとその声の主を確認してひるんだように視線をそらせた


「ああ、新田か……いや、別に困らせたわけじゃ」

「なら、いいですけど」


新田くんはアタシの腕を掴んでいた手のひらをパッと開いてみせると、さっさと駅に向かって歩き始めた