ルリちゃんはそう言って再び駆け出した

さっきと同じところでつまずいて、また片方靴を脱いでいく


そのまま数歩進み、パタ……と立ち止まり靴を拾いに戻る彼女をキュンとしながら見ていた


「あ~、かわいい……」


思わずそう言うと


「ロリコン」


と横からぼそっと聞こえてきた


「……ロリコ……ッ」


改めて言われるとドキッとするも、真実なのでどうしようもないと開き直る

そして、かずまの肩をポンと叩いた


「そういうわけで、今夜は付き合ってあげられなくて悪いな」

「……家に行ったからといって必ずできるとは限らないから、お前も気を抜くなよ」

「残念ながら、今夜はルリちゃんもノリノリっすよ

浮気中のお前の彼女の教えどおり、心を溶かす努力したんでね」


「……浮気中じゃない」


「セブ島の感想聞くときは、俺も誘えよ」



積年の恨みを果たしたような気分



ヤキモキしながらちひろの帰りを待つかずまには申し訳ないけど、俺はルリちゃんと今夜こそスウィートな夜を……



ムラムラしてくる気持ちをおさえつけるのも後数時間の我慢


今夜も精一杯心を溶かす努力をするつもり

ぎゅうぎゅう抱っこして、ぎゅむぎゅむ言わせて……


猫用ねこじゃらしのおもちゃでも買っていくか

ゴロゴロ言わせたい



片やニヤニヤしてエロ妄想を膨らませている男、
片や彼女がセブ島で浮気してるんじゃねーかと険しい顔をしている男が並んで歩いている光景はさぞ気持ち悪いだろう



……「ロリコン」

再びかずまの口からそう聞こえてきた


「なんだよ、どうなったのか報告してやんねーぞ」

「聞きたくねーよ」



俺はポケットに手をつっこんで、冷たい風に肩をすくめた