「せんぱ~~~いッ」


少し先で手を振って俺を呼ぶ甲高い声が聞こえて言葉を止めた

ルリちゃんがかばん抱えてパタパタと走ってくる



「キャッッ」


つまずきそうになって、靴が片方脱げた彼女がそのまま数歩駆け寄ってくるから……


「くつ、くつ!!」


と慌てて両手を振って止める



息を切らせた彼女が「靴どころじゃなくて……」とはにかむのを見ながら、靴を拾ってやった

肩を貸してやると彼女が靴を履く



「先輩、今日は何時頃に来ますか?」

「……先輩じゃないって言ってるだろ?」



耳を少し赤くしながら「……シン、くん」と小さく言ったルリちゃん

~~~かわいいッ



今日はふわふわの髪の毛を二つにわけて結んでいるのが、ますますかわいいッ!!



「一回家に帰って着替えたらすぐ行くから」

「……何か、手料理つくろっかなって思ってるんですけど、リクエストありますか?」

「ん~、ルリちゃんの得意料理でいいよ」

「ウフフ、わかりました!

デザートはぁ、ルリ特製のプリン作りますね」

「デザートはルリちゃんでいいんだけど」




ドサッッ





俺とルリちゃんがその音の出所を見ると、かずまが複雑な表情で落としたカバンを持ち直していた

まさか、かずまが過去に同じ事をちひろに言っていたことは俺は知らないんだけど



「じゃあ、また後で」