職員室で最後の挨拶を終えて、最後の事務処理




教育実習は、アタシの夢をかなえる第一歩

ここの学校はそんなアタシの思い出の場所になるはずだったけど……

予想に反して今では別の記念の場所



大学と、バイトをこなしてすすんでいくありふれた現実に


かずまが、遠慮なくローファーで踏み込んできた


――――ガラスの靴ならぬ、ルブタンの靴を持って





気づけば彼のもっている本の中に閉じ込められてて

のぞきこむ彼の目をただ見上げて

微笑まれると嬉しくて

怒られるといじけて


かずまに一枚一枚めくられていく


そのなんともいえない心地よさ


あらがえないラブストーリー




ねえ、かずま

アタシの世界に色を塗って


そしてアタシをかずまの好きな色に染めて


かずまが用意してくれる次のページがステキだって信じてるから


“泣かすよ?”


このシンデレラストーリーの王子様はどうやらいじわるらしいけど




……たまになら、いいかな





「記入者:真木ちひろ」



少し微笑んで自分の名前を書くと、出席簿をパタンと閉じた