小沢さんが手を握り締めているのが見えた


長瀬くんが彼女の肩に手をまわすと「行こうぜ」と誘導していく


「なあ小沢、お前妹いねーの?」

「妹?なんで?」

「紹介してもらおっかなって思って」

「……いても長瀬には絶対教えない」

「じゃあ、生徒会の後輩」

「ええ?!まあ、いいけど」

「あ、かずまの手が付いてないのな」



―――救いの手どころか、爆弾魔でした



小沢さんが長瀬くんの顔をギョッと見たのと同時に、アタシもかずまをパッと見る



長瀬くんの後ろ姿に顔を向けたまま、かずまの目だけがチラリとアタシを見返してくる


「何?」

「何も~……」


しれっと返す


「聞きたい?」

「別に~……」


「泣かすよ?」

「…………えっっ?」



な、なんで??



目を丸くしてかずまの顔を見つめてると「今夜迎えに行くから」と小さく聞こえてきて……



かずまも歩いていってしまった