初日は挨拶と授業の見学

本格的に授業をするのは来週の月曜日からだった

ノートを片手に現代国語教師である年配の田中先生の後をついてまわる一日


ペタシペタシと間抜け音を響かせるスリッパ


アタシの足元に目をやってじっと見ている田中先生に事情を説明すると苦笑された

優しそうな笑顔で、怖い先生だったらどうしようと思ってたから少し安心する





それにしても……

このスリッパのダサい音が耳障りでげんなりする


高いヒールにあわせてカッティングしているパンツだから、ひきずらないようにすそを二回折り曲げているのもものすごくテンションがさがる


髪型がかわいくないとか、服が決まらないとか、女度がさがるんだよね……



なんだか妙に出鼻をくじかれる一日


夢見てたスマートなスタートと全然違う


そんなちょっぴりセンチメンタルな気持ちすらかき消す




…………スリッパの音




アタシは足元に視線を落とすと、小さくため息をついた