「怒らせたい?

それとも俺にヤキモチ妬かせて、襲われたい?」


言葉が、出ない


黙っている間に目的の階に着くと、今度は背中を押された


つんのめるようにエレベーターを降りる


かずまは家の玄関の鍵をあけて、カバンをアタシに押し付けた


それを受け取ると、向かい合ったまま二人の動きが止まる

かずまの指がゆっくりアタシのあごにそえられて顔を持ち上げられた


怖さと緊張で思わずぎゅっと目を閉じて体に力がこもる


かずまの指が下唇に軽く触れて……離れていく


「別に、お前を監視するつもりないし……

俺は帰るから、行きたいなら行けば」



そういい残して、かずまはエレベーターに乗り込むとその姿はあっさりと見えなくなってしまった