ほんとは、わかってるの


謝ってほしいわけじゃないし

過去を消してほしいわけじゃない


最初は強引で俺様なところにちょっぴり翻弄されただけだったのに

気がついたらものすごくときめいてて

座る姿にも

歩く姿にも

立ち姿にも

見ただけでドキドキし始めて


にらみつけるのに、見つめる目は優しくて

冷たい言葉を発しながら、抱きしめる腕は熱くて


表情をかすめる前髪がもどかしくて

多くを語らない唇がじれったくて

どうしようもなく魅かれていくのをとめられなかったの


いつのまにか『好き』になってて

それを意識しちゃうと

アタシもいつかは“めんどくさい”って捨てられるんじゃないの?

年下で可愛い女の子を自分の色に染めて、アタシのことなんて「何回か、したかな」程度の女にしか思わなくなるんじゃないの?


退屈しのぎの気まぐれな恋愛ゲームにつき合わされて傷つくのはイヤ



アタシが泣くと、またきっとかずまは怒る

純粋ぶるな めんどくさい

……きっと、そう言う



車がアタシのマンションの下につくのが景色でわかった


“帰りたくない”ってかわいく言えればいい

帰りたくない……


だけど、アタシは性急にドアをあけて逃げるように降りた





泣きそうなのはばれなかったかな?