それからの時間はお互い口を開かなかった


アタシが何かを話すときっとかずまを怒らせるようなことしか言わないだろうし

かずまが何を言ってもアタシには届かない


それがわかっているかのように、アタシ達は言葉を交わさなかった



送り届けてくれる車がマンションの下に止まる


降りようとアタシが自分のカバンをつかむと、かずまがアタシの手ごとカバンを押さえた


「何か言いたいことがあるなら聞くけど」


「言いたいこともないし、聞きたいこともない」


アタシが冷たく言い返すとあっさりと手が離れた


更には鼻で笑われて


アタシはバイバイも言わずに車を降りて、わざとドアを乱暴にしめた