チカチカと疲れた目をしばたたかせながら家に帰るとあこがソファでテレビを見ながらビールを飲んでいる


「おーちひろ、おかえり~」

「ただいま」


恨めしそうな顔で見つめていると、あこが眉間にしわを寄せて「何よ」とちょっとあごを引いている


「……別に」

「試験今日までだったんでしょ?かずまは?」


「……さあ」

「さあってあんた」


だって、ほんとに「さあ?」なんだもん


あこはアタシを横目で見た後、またテレビに意識を戻す

アタシは荷物を下に置いて、携帯をダイニングテーブルの上に置くと椅子に座った

テーブルに両腕を投げ伸ばしてソファーの方をやはり恨めしげに見やる


「ねえ、あこ」

テレビをみたまま「何?」と適当な返事がかえってくる


「かずまはなんで年上のアタシなんか相手にするのかな?」

「はあ?本人にきけば」


つめた~い返事

よく考えてみれば、かずまほど無愛想じゃないけど、あこは少し彼に似ている


「だってさ、学校に同い年とか年下とかいっぱい女の子いるんだよ?」

「年上が好きなんじゃないの?」

「なんで?」

「知らないってば、想像で話してるのに食いつかないでよ」


アタシは一呼吸置くと、更に話す


「かずま、生徒会長でしょ?副会長の女の子とものすっごいイイ雰囲気なんだよ?」

「へえ」

「しかもね、副会長の方はアタシに“かずまに手を出すな”宣言しちゃうくらいかずまのことが好きみたい」

あこがやっとテレビから目を離してこちらに顔を向けた