「さぁ?あたしはただの友達ですから…」

「ぁそ?まぁそんな訳であいつ借りてくから。マジ悪いねー。」

歩夢はそのまま二人組に連れられて、人混みの中に消えた。

なんで?

金借りパク?

そういうことする人だったの?

あたしの頭の中はなんでと、どうしてがいったりきたりして、パンク寸前だった。

裏切られたの?

涙が溢れてきた。

道端に座りこみタバコを吸って落ち着こうとしたけど、うまくいかない。

気が付くと携帯を手にしていた。


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To 武
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全部嘘だったんだね。
バイバイ

紗耶香
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思わず送った。

タバコは3本目になって、ちょっと落ち着いたときにはっとした。

歩夢がどんな人だろうと関係ない。

このまま見殺しにはできない。

真実は後から聞けば良い。

もしかしたら事件に巻き込まれてるのかも。

あたしの今すべきことはこんなことじゃないっ。

吸ってたタバコをぐちゃっと手早く消して、あたしはバッグの中身を引っ掻き回した。

名刺っどこっ?