強引に掴んでいた手を離すと、晶奈の手首が少し赤くなっていた。
……俺は、何をしているんだ。
「…ごめん。」
「全くもう!!ぁ、これ可愛いっ」
晶奈は呆れたように息を吐いてから、近くにあった眼鏡を手にとった。
「あたしも眼鏡にしようかな?」
「コンタクトやめるのか?」
紫色の縁をした眼鏡をかけて、笑っている。
なんで眼鏡なんか?
「ぁ、これも可愛いっ」
次に晶奈が手にとったのは、赤い縁の眼鏡。
それをみた瞬間、ドキリと心臓が跳ねた。
……これは…
よく似てるな。
また頭に浮かんでくる、頬を染めた彼女の姿……
「……あの子には負けない。」
だから、晶奈が呟いた言葉なんて聞こえてなかった。
.