パッと俺を見たその子は、頬がちょっと赤くなっていた。


……フッ…可愛いな。

そんな可愛い表情の子に、ニコッと笑いかけていた。


無意識のうちに、頬が緩んでいたようだ。



壇上から下りた紳は、俺に向かって歩いてきた。



あの子は、口をパクパクしてから

ダッシュで逃げていった。



あぁ…行っちゃった。


せっかく紳を呼んだのに。




「なんだよ…」



眉間にシワを寄せた紳が、明らかに不機嫌な声で言った。



「さっきの子が……」



そこまで言って、言葉を飲み込む。


……なぜか、紳には知らせなくない。




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