アイツ なんて言うなよ。


まるで、すでに自分のものだ と言うように……

扱うな。




「ふっ…どうした？
妙に苦しそうに顔歪めて。」


「………別に。なんでもない。」



もう、いい。


これ以上紳にかまっていたら、息苦しくて倒れそうだ。




「………まだ間に合うかもよ？」




ドアに手をかけたとき

さっきとは違う、真剣で堅い声がした。



「まだ出ていってそんなに経ってない。
……きっと、下駄箱辺りいるんじゃね？」




ニヤッ と笑われたけど、そんなのにかまっている暇はない。


紳の言葉を聞くなり、急いで廊下を走った。




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