違う。
こんなことが言いたいんじゃない…!!
そうは思っても、彼女の表情を見ていると
抑えきれなかった。
「……か、神崎せんぱ…」
「ふふっ、なんちゃって!!
橘がよかったとしても、足を怪我した中川さんを一人には出来ないよ。
教室まで我慢、ね?」
ガラリと口調や声色を変え
誤魔化すように笑う。
きっと中川さんは俺の様子がおかしいこと……気付いてる。
余程、俺が悲痛な視線を向けていたのだろうか。
中川さんは少し微笑んで、ゆっくり頷いてくれた。
その姿に
少しだけ頬を赤く染めている姿をみて
ホッとした。
そんな彼女を本当に愛しく感じながら、保健室を出たときより強く肩を引き寄せた。
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