「ぇ…」



小さな声が聞こえてきた。

触れている部分が微かに震えている。



全く、今どきの女の子たちは謝るということを知らないのだろうか。

……まぁ、俺が睨んでしまった所為もあるかもしれないが。



それに比べて

俺の腕の中にいる彼女は……



素直で

純粋で

明るくて


何より、瞳が綺麗だ。



赤い縁の眼鏡に隠れた瞳が

まっすぐで澄んでいて


………本当に…




彼女を後ろから抱き締めるような形のまま考え込んでしまった。


…おいおい、しっかりしろ俺。




「…ふぅ、危ない。
大丈夫?中川さん。」




冷静を装い、なるべく優しい口調で優しい視線を向ける。



すると、少し頬を紅潮させた中川さんが振り返った。




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