君の
瞳に
その優しい笑顔に
どれだけ救われただろう
いつから
君を
目で追うようになったんだろう
いつから
君を
手に入れたい と思ったんだろう
俺+君=……?
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『生徒会長、神崎 弥斗くん。
お願いします。』
始業式、終業式、入学式、卒業式……そんな行事でいつも壇上に立つ生徒会長。
マイクに向かって話すのは慣れないな…
今日は入学式。
新しく一年生が入学してきた。
そして、生徒会長として、初めて壇上に立った。
去年の会長が卒業したときに、俺に決まったんだ。
一度会長になったら、卒業するまでが任期。
俺は今日から卒業まで
生徒会長を務めるんだ。
……ま、入学したときから感付いてはいたけど。
神崎 弥斗 カンザキ ヒロト
高校二年生
今日から、正式に生徒会長。
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挨拶が終わり、壇上から下りる。
拍手が鳴る中、副会長の
寺山 紳 テラヤマ シン
が話しかけてきた。
「相変わらずすごい人気だな?」
「そうかな。まだ不安だよ。」
人気 というのは、どういうことなんだろう。
一年生のときから「次の生徒会長になれ」と言われていたけど、やっぱり緊張する。
正直、不安。
まだ鳴っている拍手の中、1つため息を吐いた。
そのあとは、早々と終わり
新入生にとって晴舞台、入学式は幕を閉じたのだった。
「……あれ。」
ほとんどのみんなが帰ってしまった体育館で、一人の女の子がぼーっと壇上を見ていた。
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黒いの長めな髪
赤い眼鏡
他の子より、清楚で真面目そうな外見だ。
壇上を見て、何してるんだろう……?
俺も女の子が見つめる先を見てみる。
すると………
「……あぁ。なるほど。」
壇上には、マイクなどを片付けている紳の姿が。
なるほど。
この子は紳に一目惚れしたのかな?
紳は、見た目はチャラいし、口調も怖いけど
すごくいいヤツでカッコいい容姿をしている。
だから、紳に思いを寄せている子はたくさんいるんだ。
あの子もそうなのか…
「紳!!」
壇上の下から紳を呼ぶ。
ちょっとでも近くで見させてあげたかった。
.
パッと俺を見たその子は、頬がちょっと赤くなっていた。
……フッ…可愛いな。
そんな可愛い表情の子に、ニコッと笑いかけていた。
無意識のうちに、頬が緩んでいたようだ。
壇上から下りた紳は、俺に向かって歩いてきた。
あの子は、口をパクパクしてから
ダッシュで逃げていった。
あぁ…行っちゃった。
せっかく紳を呼んだのに。
「なんだよ…」
眉間にシワを寄せた紳が、明らかに不機嫌な声で言った。
「さっきの子が……」
そこまで言って、言葉を飲み込む。
……なぜか、紳には知らせなくない。
.
あの、赤い顔が
可愛い表情が
忘れられない。
紳にも、誰にも
教えたくない。
「いゃ、なんでもない。
俺らも戻ろうか。」
「はぁ?」
紳は納得してないみたいだったが、話を反らした。
言わないでおこう。
なんだか秘密が出来たみたいだ。
「……フッ…」
口をパクパクして…金魚みたいで可愛かったな。
思い出しては、また緩む頬。
そんな俺を見て、怪訝そうにする紳。
……また、会えたらいいな。
あの子と紳が上手くいけばいいな…
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