「ゴン!!
ゴン!!ゴツン!!ゴツン!!」


「キャーー!!!
やめて~!!やめて~!!」
と美華は必死で抵抗しようとするが、
政子は鬼のような形相でガツン!ガツン!と美華の顔を叩きつける。



「止みゃあ!!!!」と鶴子が必死で制止し、
そして
「それで……、どうするんだよ!!覚悟は出来てんのかい!!政子!!」
と怒鳴った。



「えぇ……。
わたくし、堕胎することを決意いたしました。」
と淡々と話す政子。

その言葉を聞いた鶴子は、
「……本当かい?」
と少し安心している。


しかし政子は、
「お母様。その代わりにこれにサインをお願いします!」
と言い、一枚の書面を差し出した。


「……何だいこれは?せっ、誓約書!!」
ビックリする鶴子。


『誓約書』


第1条 甲(川添政子)は強姦により妊娠した胎児を堕胎し、今後その話を決して口外しないことを約す。

第2条 乙(川添鶴子)は、甲の希望である屋敷への永住を承認し、たとえいかなる理由が有ろうとも乙は甲と亭主を離縁させ、屋敷より追放することを強制する権利を一切放棄することを約す。