「アナタって人は、どこまで図々しいの!!自分の出生だって私達は目をつぶってきたというのに、こんな裏切りを起こしておいて、産みたい!?
馬鹿にするのもいい加減になさい!!」
と吐き捨てた。


「母さん!だから今回の件も目をつぶってやって……。」と何とか食いつく義昭。


鶴子は怒りに満ちた目で、
「義昭、答えなんぞ出ているでわないの!!主人は東京石油連合会・会長、わたくしは女優なのよ!!
このことが、外に漏れただけで一大スキャンダルになるのよ!!それこそ家族は悲惨な目に遭うじゃないの!!」
と激しく責めたてた。

「母さん…。」力なくガックリする義昭。


「政子さん!堕胎なさい!腹の子は、流産したってことにして、堕胎しなさい!」
と激しく説得する鶴子。


「そ…、そんな……。」悲観する政子。


鶴子は全く同情することなく、
「そんなんじゃ、にっちもさっちも行かないじゃないか!!
この世界の旦那に嫁いだんだから、この程度のこと認めないようなら、主人に勘当してもらうように致します!赤の他人になって何処ででも好きな所で子を産むがいい!」
と言い捨てると、サッサと和室を出て行ってしまった…。